本日は『みりん』について解説していきます。
私達日本人の食文化に欠かせない発酵調味料の一つです。
みなさんはみりんをどんな目的で使っていますか?
甘味足し?コク足し?臭み消し?普段何となく使ってはいるけどハッキリとした効果が頭に入っている人は少ないのではないでしょうか。ちなみに私も過去はそうでした^^;
この記事では料理の初心者向けにみりんの効果・使い方・何を買えば良いかなどをみていきます。
あなたの料理の引き出しが少しでも増え、日々の食生活がより豊かになれば幸いです。
それではいってみましょう!
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家で比較的簡単に実行できて、楽しくなる料理のアイデアです。
ぜひチェックして頂けると嬉しいです♪
さて、それでは早速みりんをみていきましょう。
まずみりんは、
・米麹
・焼酎 or アルコール
を原料にして、40日~60日間かけて糖化・熟成させていきます。
この過程で米麹中の酵素により、もち米のデンプンやタンパク質が分解されて各種糖類・アミノ酸・有機酸・香気成分などが生成され、みりん特有の風味が作られます。
みりんの効果をざっくりまとめると以下になります。
◎深みのある甘味を足す
◎コクと旨味を足す
◎とがった酸味と塩味を和らげる
◎お肉やお魚の臭みを消す
◎食材への味の浸透性をUPさせる
◎お肉やお魚を柔らかくする
◎煮崩れを防ぎ、旨味を閉じ込める
◎料理に照りやツヤを出す
たくさんの効果がありますね!
料理酒と効果が似ている部分がありますが、大きな違いはその『甘味』です。深みのある甘味が料理に奥深さを与えてくれます。
ちなみに料理酒については『料理のプロが教える料理酒の効果と使い方』で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧ください♩
これで料理酒とみりんについての苦手意識はかなり減ると思います。
それではみりんの何がどう食材に働いていくのか、深堀りしていきましょう(^-^)/
■みりんの効果
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●深みのある甘味を足す
みりんの甘味は糖類だけに絞ってみると、もち米のでんぷん(粘りのもとであるアミロペクチン)が米麹の酵素により糖化したものと米麹由来自体によるものになります。
8割〜9割がグルコース(単糖類/ブドウ糖)で、その他数種の糖類で構成されています(イソマルトースやコージビオースなどの2糖類、他3糖類・それ以上の高分子のオリゴ糖など)。
この事からみりんの甘味はさまざまな糖類によって複雑に構成されている事がわかります。スッキリとした味わいですが、複雑でまろやかさがあります。
砂糖のストレートな甘味とは質が違う事を覚えておきましょう(^-^)/
●コクと旨味を足す
・アミノ酸、ペプチド、有機酸、糖分
みりんの中のアミノ酸(グルタミン酸・ロイシン・アルギニン)・ペプチド・有機酸(コハク酸など)・糖分が料理の味にコク・旨味・甘味・深みを与えます。
この辺は料理酒とだいたい共通していますね。みりんは入れすぎると甘くなるので使う量には注意が必要です。
・メイラード反応
みりんの中に含まれるアミノ化合物(アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質)と、還元糖類(単糖類・マルトース型2糖類・オリゴ糖)が加熱された時に褐色物質(メラノイジン)を生み出す反応の事で、香ばしい香りが立ちます。
分かりやすい例でいうとお肉の焼いた時の色付きやカラメルなどがそう。食欲をそそる香りと味わいに変化します。
●とがった酸味と塩味を和らげる
とがった強い味(酸味や塩味)をみりんが丸く覆い隠して、まろやかに仕上げてくれます。
この効果も料理酒と共通していますが、料理酒は入れすぎると別の酸味が立ち、みりんは入れすると甘味が目立ってきますので、酸味や塩見を消す目的であれば料理の仕上げにさっと少量かける程度にしましょう。
その際、『煮切りみりん』を使うと楽です(あらかじめ沸かしてアルコールを飛ばした状態のみりん)。
●お肉やお魚の臭みを消す
みりんは料理酒と同じ程度のアルコール分なので、料理酒と同様の効果が得られます。
しかしながらみりんは『甘味』がありますので、臭み消し目的で使う時はあらかじめ他の調味料と合わせてから漬けたり煮込んだりするのがよいでしょう。
・アルコール
煮物の時、火を加えるとアルコールと周りの液体が揮発します。これを『共沸効果』と言います。混合液体中の臭みを伴ってアルコールが揮発する事により、臭みを消してくれます。
※この時しっかりと蓋はせず、2分〜3分待ってアルコールが飛ぶのを待ちましょう。
・クエン酸
みりんの中に含まれる有機酸(主にクエン酸)が、お肉やお魚の油に含まれる臭い物質の生成(酸化)を抑制してくれます。これを『キレート作用』と呼び、食材の中にある金属イオンが結合する反応を指します。
つまり臭気成分の吸着と抗酸化作用により臭みが低減されると言う訳です。
クエン酸はレモンなどの酸味の強い柑橘に多く含まれます\(^-^)/
・メイラード反応
上述したメイラード反応も、食材の臭みを抑えるのに役立ちます。
食材の臭みを取る方法として『お肉やお魚の臭みを取る7つの方法』の記事でもご紹介しておりますので、合わせてご覧ください♪
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●食材への味の浸透性UP
・アルコール
こちらも料理酒と同様の効果ですね。料理の「さ・し・す・せ・そ」を覚えていますか?
砂糖、塩、酢、醤油(正油/せいゆ)、味噌ですね。
アルコールは砂糖よりも分子が小さく、素早く食材に浸透し、他の調味料の浸透を助けてくれます。
味を染み込ませる目的であれば、みりんや料理酒は砂糖よりも前の段階で入れるのが良いでしょう♪
●お肉やお魚を柔らかくする
はい、こちらも有機酸を含む料理酒と効果は一緒ですね。
・有機酸
お肉やお魚が『柔らかい』という事は『水分が含まれている』という事をいいます。一般的にお肉のpH(ペーハー)はpH5辺りとされていて、保水力はそこから酸性もしくはアルカリ性に傾くと上がります。
これは内部の筋繊維がpHの変化によって退け合い、水分が入り込む余地が広がり、保水力が上がるという訳です。料理酒やみりんでお肉やお魚を漬けると、お酒の中の有機酸の効果により酸性に近づき、筋繊維に水分が入って柔らかくなります。
この効果はお酢やワインで『マリネ』する時にも同様に起こります。
ちなみにアルカリ性に傾けても同様な事が起こります。例えば重曹水やベーキングパウダーなどですね。
しかし他にアルカリ性の調味料は私の知る限りなく、日本酒、ワイン、ヨーグルト、牛乳、ハチミツ、コーラ、レモンなどの身近な酸性食品で柔らかくする方が現実的ですね\(^-^)/
●煮崩れを防ぎ、旨味を閉じ込める
・アルコールと糖分
野菜や果物の細胞壁は水溶性食物繊維である『ペクチン』でできています。ジャムを作る時、ゲル状になる物質の一つです。善玉菌の餌にもなるこのペクチンは熱に弱く、これが加熱により溶けてしまい煮崩れを引き起こします。
しかしアルコールがペクチンに浸透するとペクチンの結びつきが強まり、熱が加わっても溶けにくくなります。しかもアルコール単体で使うより、糖分と合わせて使うとよりその作用が強まります。
なので料理酒やみりんは煮崩れ防止に最適で、加えて食材の旨味も閉じ込めてくれる効果もあります\(^-^)/特にみりんの方がお野菜の煮崩れ防止の効果が高いですね。
それでも煮崩れをしてしまうというあなた、それはもしかしたら単純に『火加減が強い』可能性があります。
ちなみに、
みりんのアルコールと糖分は動物性食材のエキス流出の抑制にも効果があります\(^-^)/すごいですね。
●料理に照りやツヤをつける
こちらはみりん特有の効果ですね。
みりんに含まれるたくさんの種類の糖分が、食材に被膜を作り照りやツヤを出してくれます。
みりんの糖分の効果は料理酒と砂糖では完全には代用できません。これは覚えておきましょう(^-^)/
さて、ここまでみりんの様々な効果とその根拠をみてきました。
それでは次は具体的にどう使えばいいのかみてきましょう!
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■みりんの使い方の1例・調味料とのカンタン比率
次は使い方の1例をご紹介します。
◎炒める
食材を炒めた後、さっとひと回しみりんを甘すぎない程度の量をかけてアルコールを飛ばします。その後塩や味噌、醤油などで味付けをするとコクと深みのある味に仕上がります。
◎煮る
簡単な和風ダレとして、醤油・酒・みりんを1:1:1で煮詰めると照りのある馴染み深いタレが出来上がります。焼き鳥にかけるととっても美味しいですよ♪きんぴらゴボウもこの割合にきび糖を加えればできます♪
甘辛い魚の照り焼きを作るときは、醤油・酒・みりんを1:3:5で煮詰めると美味くできます。
肉じゃがを作る時、食材を炒めた後に醤油・みりんを1:1で加えて、蓋をして弱火で煮詰めます。醤油の塩分が食材から水を出し、蒸されながら食材に火が通っていきます。お好みで豆板醤やごまを加えると美味しいですよ♩
◎蒸す
包み蒸し/焼きする時に食材にみりんをさっと振って調理します。ふっくらと仕上がり、香りもつきます。また、プリンを作る時に砂糖の代わりに使うと卵の臭みも抑えられ美味しくなります。
◎炊く
古米を炊く時、さっとひと回し少なめに加えるとツヤが出てふっくら新米のように炊きあがります。
◎漬ける&焼く
下処理して臭みを抜いた魚の切り身をみりん・酒・醤油を1:1:1で合わせた液に数時間つけた後焼きます。照りが出てとても美味しそうに焼けますよ\(^-^)/
■みりんの4つの種類と保存方法
はい、ここまで見てきたあなたはもうみりんを使ってみたくなったハズです。
でもその前に。
みりんにも種類がある事を覚えておきましょう。
◎伝統的製法本みりん
◎本みりん
◎みりん風調味料
◎みりんタイプ(発酵調味料)
みりんは上記の通り4種類あります。私がおすすめするのは『伝統的製法の本みりん』です(^-^)/
●伝統的製法本みりん
江戸時代に確立された伝統製法の本みりん。本格焼酎と蒸したもち米と米麹のみで長い時間をかけて作られます。そのまま飲める程美味しく自然な甘みは絶品ですが、手間や時間、酒税がかかり高価です。
常温で保存できます。
●本みりん
戦後に開発された製法で、同じ量のもち米から伝統的製法の約3倍ほどの量を造ることができます。もち米・米麹・醸造アルコール・水アメで作られます。酒税がかかるため高価です。
こちらも常温で保存できます。
●みりん風調味料
水アメやブドウ糖・ 化学調味料などを、合成酒のように化学的に醸造されます。アルコールを含まない為『煮切り』の必要がありません。酒税がかからない為安価です。塩分も含むため使い方に注意。
冷暗所、できれば冷蔵庫保存です。
●みりんタイプ調味料(発酵調味料)
雑穀を糖化し、一部アルコール発酵もさせた調味液に、醸造用アルコールと塩を加えて化学的に造られます。アルコールはありますが、塩分が強いため酒税がかからず安価です。塩分を含むため使い方に注意。
常温保存です。
表にまとめてみました。
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■みりんの代わりはあるの?代用品は?
みりんが家にない時・・・・!ありますよね(^_^;)
そういう時はみりんの糖分の代わりになるものを選びます。
みりんの糖分は色んな種類の糖分により構成されているのは説明しましたね。
一番みりんに近い働きをするのは料理酒+蜂蜜やオリゴ糖あたりでしょう。甘味と照りがでます。コクという点では、私は蜂蜜や黒糖が好きでみりんがない場合は使っています。
白砂糖は単純な甘さだけなので、役不足ですがお肉を柔らかくする効果があるので場合によっては使うのはありです。きび糖や黒糖と違い色もつきません。
■みりんは何を買えばいいの?
では私がおすすめするみりんのご紹介です\(^-^)/
実は有機の伝統製法みりんはあまり種類がないのですが、次の2つをよく使っています。角谷文治郎商店さんの三州味醂(有機原材料使用)(1800ml)と、海外に酒蔵を持つ超大手・宝酒造さんの宝酒造 タカラ有機本みりん500MLです。
どちらも奥深い甘さで、料理の味を格段に引き上げてくれます(^-^)/三州味醂のスタッフさん曰く、「これさえあれば料理酒なんかいらんよ!」だそうです。
お湯で薄めて飲んでも、そのまま飲んでもとっても美味しいのです!
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■まとめ
みりんも料理酒と同様、アルコールと糖分による効果がとても大きいですね。加えてみりんには様々な糖分による効果がある事がわかりました。
私がみりんを使う時の感覚を簡単に書き出すと、
・綺麗な照りやツヤを出したい時に
・奥深いコクと旨味を足したい時に
・使う量は酒と同量かそれ以下
・煮崩れなく煮物を作りたい時に
・甘味をみりんで足していき、これ以上甘くせず旨味を足したい時に料理酒を使う
といった所になります。みりんを使う時の参考にしてください。
他の記事にも書きましたが、ルールに縛られずまずは使ってみる事が大事です。
『料理はレシピではなく、味で覚えましょう』
あなたにとってベストな組み合わせが見つかるといいですね(^^)/
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
あなたの料理ライフがより良いものになりますように♪
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