本日は『料理酒』について解説していきます。
みなさんは料理酒をどんな目的で使っていますか?普段何となく使ってはいるけど、ハッキリとした効果が頭に入っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では料理酒の持つ素晴らしい効果・料理での使い方・成分・何を買えば良いのかなどをみていきます。あなたの料理の引き出しが少しでも増え、日々の食生活がより豊かになれば幸いです。
それではいってみましょう!
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まず料理酒(日本酒)は簡単に言うと、
・米麹
・水
を原料にして20日〜30日間、糖化とアルコール発酵を同時に進行させながら造られます(並行複発酵)。
米麹中の酵素によりお米のデンプンやタンパク質が『ブドウ糖』に変えられながら、
米麹中の酵母によりブドウ糖が『アルコール』に変えられていきます。
ちなみに、アルコール醗酵後に酢酸菌を加えて熟成させると『お酢』に変化してきます。
料理酒の効果をざっくりまとめると以下になります。
◇お肉やお魚の臭みを消す
◇お肉やお魚を柔らかくする
◇食材への味の浸透性をUPさせる
◇煮崩れを防ぎ、旨味を閉じ込める
◇コクと旨味を足す
◇とがった酸味と塩味を和らげる
料理酒を使うだけでこれらの作用で食材の味が引き立てられ美味しくなるのです。
食材の味を『引き立てる』という事は、全面に出ないように少量使うという事です。まずこれで料理酒を使う量がざっくりイメージできましたね。
それでは料理酒の何がどう食材に働いていくのか、深堀りしていきます。
■料理酒の効果
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お肉やお魚の臭みをとる
・アルコール
例えば煮物の際、アルコールを加えて温めていくと周りの液体が揮発します。これを『共沸(きょうふつ)効果』といいます。混合液体中の臭みを伴ってアルコールが揮発する事により、臭みを消してくれます。
※この時しっかりと蓋はせず、2分〜3分待ってアルコールが飛ぶのを待ちましょう。
・クエン酸
料理酒の中に含まれる有機酸(主にクエン酸)が、お肉やお魚の油に含まれる臭い物質の生成(酸化)を抑制してくれます。これを『キレート作用』と呼び、食材の中にある金属イオンが結合する反応を指します。
簡単に言うと臭気成分の吸着と抗酸化作用により臭みが低減されると言う訳です。
クエン酸はレモンなどの酸味の強い柑橘に多く含まれます。
お肉やお魚を柔らかくする
・有機酸
お肉やお魚の身が『柔らかい』という事は『水分が含まれている』という事です。
一般的にお肉のpH(ペーハー)はpH5辺りとされていて、そこから酸性またはアルカリ性に傾くと保水力が上がります。これは身質内部の筋繊維がpHの変化によってしりぞけ合い、水分が入り込む余地が広がり、保水力が上がるという訳です。
料理酒でお肉を漬けると料理酒中の有機酸の効果により酸性に近づき、筋繊維に水分が入って柔らかくなります。この現象はお酢やワインでマリネする時にも同様に起こります。
アルカリ性に傾けても同様な事が起こりますが(例えば重曹水やベーキングパウダーなど)、日本酒、ワイン、ヨーグルト、牛乳、ハチミツ、コーラ、レモンなどの身近な酸性食品で柔らかくする方が現実的ですね。
食材への味の浸透性をUPさせる
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煮崩れを防ぎ、旨みを閉じ込める
・アルコールと糖分
野菜や果物の細胞壁は水溶性食物繊維である『ペクチン』でできています。ジャムを作る際にゲル状になる物質の一つです。善玉菌の餌にもなるこのペクチンは熱に弱く、これが加熱により溶けてしまい煮崩れを引き起こします。
しかしアルコールがペクチンに浸透するとペクチンの結びつきが強まり、熱が加わっても溶けにくくなります。さらにアルコールは単体で使うより糖分と合わせて使うと、よりその作用が強まります。
なので料理酒やみりんは煮物の煮崩れ防止に最適で、加えて食材の旨味も閉じ込めてくれる効果もあります。
それでも煮崩れをしてしまうという場合は、火加減が強い可能性があります。
コクと旨みを足す
・アミノ酸、有機酸、糖分
料理酒中のアミノ酸・有機酸(コハク酸など)・糖分が料理の味にコク・旨味・甘み・深みを与えます。奥深い味わいになるという事です。入れすぎるとエグミが際立つので忍ばせる程度に。
雑味が多い安い清酒の方が料理に使うのに向いています。高いお酒ほどお米の精米歩合が強いのですっきりした味になる反面、雑味が少なく料理には不向きです。もったいないし、コストもかかります。
また、カドが立った強い味を料理酒が丸く覆い隠して、まろやかに仕上げてくれます。こちらは料理の仕上げにさっとかける使い方が良いでしょう。
とがった酸味と塩味を和らげる
とがった強い味(酸味や塩味)をお酒が丸く覆い隠して、まろやかに仕上げてくれます。
この効果はみりんと共通していますが、料理酒は入れすぎると別の酸味が立ち、みりんは入れすると甘味が目立ってきますので、酸味や塩味を消す目的であれば料理の仕上げにさっと少量かける程度がいいでしょう。
その際、『煮切り酒』を使うと楽です(あらかじめ沸かしてアルコールを飛ばした状態のお酒)。
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■料理酒の使い方の1例
さて、それでは使い方の1例を見ていきます。
・食材の臭みをとる
調理する前のお肉やお魚を調味料で漬ける時に料理酒を加えます。使う量は全体に薄く行き届くかなーという程度でOK。 多すぎると酸味やえぐみが立ってしまうので注意。
料理酒に入っている糖分により、焼き上がりに照りも出て美味しそうに見えます。
・揚げ衣に加える
揚げる衣に料理酒を加えても美味しいです。例えばフリットを作る際にはビールと小麦粉で衣を作ります。
普通の唐揚げであれば、薄力粉と、水1と料理酒1の割合で入れて衣を作ってみてください。いつもと一味違った味わいになりますよ。
・和風のタレ
醤油・酒・みりんを1:1:1で煮詰めると照りのある馴染み深いタレが出来上がります。焼き鳥にかけるととっても美味しいです。きんぴらゴボウもこの割合に砂糖を加えればできます。
甘辛い魚の照り焼きを作る時は、醤油・酒・みりんを1:3:5で煮詰めると美味しくできます。
・蒸す
包み蒸し/焼きする時に食材に料理酒をさっと振って調理します。ふっくらと仕上がり、香りもつきます。
・茹でる
食材を熱湯で霜降りする際、料理酒を2回しほど加えてやると効果抜群です。加えて素材の風味も増します!
・炊く
お米を炊いたけど硬くて失敗してしまった時....料理酒をひと回しかけて少し火にかけて蒸らすとふっくら炊きあがります。古米など味が落ちたお米には、3合のお米に対して5ml~10ml程かけて炊くと美味しく炊きあがります。
・味の調整として
塩味や酸味のカドが立ってしまったお料理に、数滴たらして混ぜてあげるとまろやかに収まります。
■料理酒を買う前に気をつけておくこと
料理酒には塩分が添加されている物がある
ご存知の方も多いかと思いますが、料理酒には塩分が入ったものがあります。
日本で市販されている料理酒の多くには、食塩や酢の添加により不可飲処置が施されている。これは、不可飲処置を施すことで酒税法上の酒類に該当しなくなり、酒税の課税対象から外れるので安価になるとともに、酒類販売免許を持たない商店などでの販売も可能になるためである。また、製造者の記載義務もない。
お酒に塩分を添加していれば、お酒を取り扱う事のできないお店でも安価で『お酒』として置く事ができるようになります。一部のお店で、お酒コーナーとは別に調味料コーナーに塩分の入った料理酒が置かれているのはこのためです。
塩分や添加物などが入っている料理酒はそのまま飲む事もできませんし、必要のない塩分が料理の邪魔をしますので私は使いません。。
使うならお酒コーナーにある安価な清酒をおすすめします。
『清酒』ってなに?
まず『日本酒』という大きなくくりがあります。
その大きな日本酒というグループの中に『みりん』と『清酒』が含まれます。詳しくは条件によって違ったりするのですが、大雑把にいうとこうです。
で、『清酒』の種類はさらに以下の表のように区分されています。
※『精米歩合』とは精米して残った部分の比率を示し、数値が低いほど高度に精米されているという意味です。
清酒は大別すると『醸造(じょうぞう)酒』と『純米(じゅんまい)酒』に分けられます。
◇醸造酒
原料は水・米・米麹・醸造アルコール。清酒を作る過程で味や香りを引き立てたり、まるみを持たせたりする為に醸造アルコールを添加したもので、すっきりとした雑味の無い清酒に仕上がります。
◇純米酒
原料は水・米・米麹で作られ、旨味やコク、ふくよかさなどの癖の強く出た濃醇な清酒になります。
※清酒は酸度が強いと辛口な味わいに感じられます。
料理に合うのは雑味の多い清酒なのですが、これがいわゆる『純米酒』に当たります。
お酒コーナーには料理用に作られた清酒(ただし醸造酒)も置いてありますので、予算に合わせてそちらを選んでも良いかと思います。
料理酒の旨味である『有機酸』を細かく見てみる
さてここまで来ると、もはやこの記事のターゲットである料理の初心者さん向けの内容ではありません。有機酸の種類なんて知りたがる料理初心者さんがどこまでいるのか?
いやいない_(:3 」∠)_
ここからはどうせなら知りたい方だけ見ていってください。
・料理酒に含まれる『有機酸』の組成
料理酒の有機酸はおおよそ、コハク酸>リンゴ酸>乳酸>クエン酸>酢酸の構成です。
・コハク酸
貝類に多く含まれる旨味成分で、コクを感じさせます。燗酒(温めたお酒)にした時にコハク酸がおいしく感じられるのが特徴で、多すぎると舌に刺さるような苦味や雑味を感じます。
・リンゴ酸=オキシコハク酸
リンゴから発見された為この名がつきましたが、ブドウにも存在します。さっぱりとした後味の引かない強い酸味、爽やかな印象。
・乳酸
乳酸菌から生成されます。様々な種類があり、伝統的な生酛(きもと)製法では生成された乳酸が雑菌の繁殖を防いでくれます。鋭い酸味を持ちます。
・クエン酸
柑橘類に多く含まれます。乳酸と同じく雑菌の繁殖を防ぐため、気温の高い地域で造ることが多い焼酎造りに白麹菌や黒麹菌が使われます。清酒造りでは主に黄麹菌が使われます。これも鋭い酸味がありますが、爽やかな風味があります。
・酢酸
酢酸菌の発酵により生成され、食酢・ヴィネガーに含まれます。強い酸味と刺激臭があります。そのままの摂取は刺激が強く、薄めて飲んだとしても後味はそんなによろしくはありません。
ちなみに旨味成分を大別すると、アミノ酸系・有機酸系・核酸系になります。旨味については話が広がりすぎるので別記事で。
清酒を火入れするとコハク酸とリンゴ酸が減少し、乳酸が増加します。コクと酸味を感じやすくなるといった所でしょうか。
料理酒を入れすぎると料理の味を邪魔する事が分りますね。
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■料理酒のおすすめはこちら
■ギフト用の清酒にはこれ
出典:日本酒博物館公式サイト
ちょっと良い日本酒を買いたい、ギフトに喜ばれるような確かなものが欲しいという方は日本酒博物館ので選ぶのがオススメ。
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私は生原酒が超超好きなので、"生原酒"でキーワード検索してあれこれ飲み比べしています。
出典:HINEMOS公式サイト
創業300年以上続く『森山酒造』が展開するブランドHINEMOS。
『時間』をコンセプトにしたブランディングで、まぁとにかくおしゃれ。
12種類にに分かれた日本酒はどれも個性的味わいで美味しい。
桜色だったり、スパークリングだったり、りんごのような香りだったり、日本酒ってこんな味のバリエーションあるの?っていうくらいびっくりします。
少しおしゃれな贈答用なら迷わずこれ。
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■まとめ
料理酒、奥が深かったですね。まとめると、
・買うなら安価な純米酒か、料理酒用に作られた清酒(醸造酒)
(食塩の入っていない物)
・使用量は少なめに
・使う場面は様々で、下ごしらえ、調味料を加える前、仕上げ等
・料理の味を引き立ててくれる日本が誇る発酵調味料
発酵食品ですので、腸内の善玉菌を増やしてくれますし、料理の味も良くしてくれる、使わない理由がない調味料です。
ルールに縛られずまずは使ってみる事が大事です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
あなたの料理ライフがより良いものになりますように♪
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