椎茸出汁の正しい取り方はこれ
本日は『椎茸出汁』の取り方をご紹介します!
椎茸出汁?ただ水に浸けて、一晩経って沸騰させたらOKでしょ?
と思っているあなた。
違うんです、それだと椎茸の旨味を充分に取れていません。。。
この記事では椎茸出汁の正しい取り方と、上手に取れる根拠を詳しく解説していきます。正しい出汁の取り方をマスターするだけでもお料理の味が確実に変わってきますよ。
ぜひ覚えていただきたいと思います!
それではいってみましょう!
ブログでは私が特におすすめするレシピをご紹介しております。
家で比較的簡単に作れて、美味しくて応用の効きやすいレシピを中心に載せていますので、ぜひチェックして頂けると嬉しいです♪
■椎茸出汁の材料(約1000ml分)
◎干し椎茸……50g
※量は好みで減らしてもよい
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■椎茸出汁の取り方
1.椎茸をさっと水洗いします。
※特に原木の椎茸は石づきや傘の裏にほこりやチリがついているので落としてあげる
2.容器に水と椎茸を入れ、一晩冷蔵庫で寝かせます。
3.椎茸と水を鍋に移し弱火にかけ、15分〜20分かけて80℃まで上げたら火を止めます。
※沸騰させると独特な苦味や臭みが出てしまう
4.ザルで椎茸出汁を濾したら完成です!
では画像付きで細かく解説していきます!
■椎茸出汁の取り方を詳しく解説
1.椎茸をさっと水洗いします。
2.容器に水と椎茸を入れ、一晩冷蔵庫で寝かせます。
3.椎茸と水を鍋に移し弱火にかけ、15分〜20分かけて80℃まで上げたら火を止めます。
家庭のコンロで弱火にかけると15分〜20分で80℃に到達します。鍋底に気泡がつき、椎茸の周りにアクがついてくるのを確認したら火を止めます。
沸騰させると旨味成分を作りだしている酵素が失活するので注意してください。
アクは丁寧にすくい取ってあげましょう。
4.ザルで椎茸出汁を濾したら完成です!
濾した椎茸はそのまま刻んで食べてOKです!捨てずに食べましょう(*⁰▿⁰*)
しっかりした椎茸の旨味、豊かな風味の椎茸出汁の完成です。
誰かにお料理を振る舞う時は小さいところまで気にかけてあげると良いですよ。
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■超簡単、激ウマ佃煮レシピ
残った椎茸は捨てないで
まだまだ使えます。今回は煮干しと一緒に佃煮にしました。
◎水に浸けた煮干し…一つかみ
◎濃口醤油…50ml
◎清酒…50ml
◎本みりん…50ml
◎きび糖…40g(量はお好みで)
作り方は全ての材料を鍋に入れて弱火で煮るだけです。
売り物のお惣菜とは比べものにならないくらい美味しいです(*⁰▿⁰*)
■椎茸出汁はどれくらい日持ちする?
椎茸出汁に限らず、出汁系は日を置くほど風味も味も落ちていきますのでなるべく早く使い切りましょう。
使いきれない場合は冷凍するのも手です。
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■椎茸出汁の効果的な取り方を解説
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旨味がどうして増すのか?
ネットには色んな情報が出回っていますが、私なりに資料を見て簡単にまとめてみました。間違いがございましたらご指摘ください。
まず前提条件として、次を挙げておきます。
- 酵素は簡単にいうとタンパク質の一種で、生体内外で起こる化学反応に対して触媒として機能し、一定の温度を超えると失活する。
- 椎茸組織内のリボ核酸(RNA)をリボ核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)が分解し、旨味成分である『ヌクレオチド』を生成する。
※椎茸の旨味成分『グアニル酸』はヌクレオチド系呈味性成分の一つ - ヌクレオチド分解酵素(ホスファターゼ)はヌクレオチドを分解して、無味のヌクレオシドに変える。
※ヌクレオシドはグアニル酸を酵素的に脱リン酸して得られる - ヌクレアーゼ(リボ核酸分解酵素)とヌクレオチド(旨味)は浸漬液中(椎茸を水に浸けた液)に溶けるが、
- リボ核酸(RNA)とホスファターゼ(ヌクレオチド分解酵素)は浸漬液中には溶けないため、ヌクレオチドの生成&分解が起きるのはあくまでも椎茸組織内でのみ。
- 冷水4℃〜40℃までの温度域では浸漬液中のグアニル酸(旨味成分)は検出されなかった。
- 加熱をするとヌクレアーゼの働きにより、椎茸組織内のヌクレオチドが増大する。
- ヌクレアーゼ活性は40℃過ぎが最大化で、50℃過ぎで半減、70℃で失活する。椎茸組織内のみの反応。
- ホスファターゼ活性は30℃過ぎが最大化で、60℃手前で半減、70℃で失活する。椎茸組織内のみの反応。 ヌクレオチドを分解してしまうホスファターゼの方が活性範囲が広く、低温度での働きが良い。
そう、実はヌクレオチド(グアニル酸)は加熱をしないと増えないんですね。水に椎茸を浸けただけでは不十分という事です。
ではこの前提条件のもと、椎茸出汁を美味しく取る方法や注意点を見ていきます。
◎佐々木弘子氏/中村尚子氏/青柳康夫氏/菅原龍幸氏|
『干し椎茸の水もどしと加熱調理における遊離アミノ酸の挙 動について』|日本食品工業学会誌Vol.35,No.2,90〜97
◎青柳康夫氏/菅原龍幸氏|『干し椎茸の水もどしに関する一考察』|日本食品工業学会誌 Vol.33,No.4,244〜249
◎中莖秀夫氏|『乾燥シイタケのグアニル酸について 』|食品工業技術センター
◎澤田崇子氏/遠藤金次氏|『シイタケの加熱調理過程における核酸関連物質の変動』|日本家政学会誌 Vol. 41 No. 5 407~411
◎澤田崇子氏|『きのこの調理-シイタケを中心に-』|日本調理科学会誌 Vo1.36 No.3
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乾燥椎茸を戻すおすすめの時間
結論、
【根拠とポイント】
◎吸水量は温度が低い方が良かった。
5℃の水温で4時間、25℃の水温(常温)で2.5時間で最大吸収量90%に到達した。
◎高温の60℃での水戻しは熱変性のためか、逆に保水量が低下した。
◎5℃の水温で、リボ核酸(RNA)の減少は15時間で最低値に、ヌクレオチドも25時間までに減る傾向にあった。
◎椎茸出汁の旨味の要因はヌクレオチドだけではなく、遊離アミノ酸、低分子ペプチド、有機酸、糖、糖アルコールなど様々な要因がある。
◎遊離型タンパク性アミノ酸は水戻しにより増加し、水温5℃で25時間までに徐々に増えていった。
つまり、
椎茸を水に浸けると旨味成分の素となる成分(リボ核酸)と旨味成分(ヌクレオチド)は減っていくが、他のアミノ酸は浸け時間によって増加する。浸け過ぎると弱い苦味が感じられるので、浸け時間は長くても一日くらいに留めておく。
という事ですね。
では次は効果的な旨味成分の引き出し方を見ていきます!
乾燥椎茸の旨味を効果的に引き出す方法
結論、
【根拠とポイント】
4℃/分はいわゆる弱火。
冷蔵庫で冷えた浸漬液は家庭の弱火で15分〜20分かけて80℃まで到達する。
◎椎茸中で生成されたヌクレオチドは50℃で顕著に液中に溶け出し、その量は80℃では1/2に落ち着いた。椎茸内部および液中共に増加した。
◎リボ核酸(RNA)は液中には溶けないことから、旨味成分の生成はあくまでも椎茸組織内でのみ起こる。
◎ホスファターゼも液中には溶けないことから、旨味成分の分解はあくまでも椎茸組織内でのみ起こる。
◎80℃までの加熱中に椎茸内部での旨味成分の生成と分解は同時に起っているが、
液中に溶け出したヌクレオチドは分解されずにそのまま残る。
◎椎茸内部と液中のヌクレオチドの生成の比率は80℃までに最大化する。
◎酵素の失活はヌクレアーゼ、ホスファターゼ共に70℃で起こるので、ヌクレオチドの生成量が80℃までに最大化するのは矛盾が生じていることではある。
つまり、
加熱中椎茸組織内での旨味成分の生成と分解は同時に起こっており、温度によっての酵素の働きを切り分ける事は不可能。
しかし、液中に溶け出したヌクレオチドはヌクレオチド分解酵素(ホスファターゼ)の影響を受けないので、弱火で加熱して効率的に旨味成分を液中に溶け出させてあげるのがポイントである。
液中には椎茸組織内でホスファターゼによる分解を免れたヌクレオチドと分解を上回って生成されて溶け出したヌクレオチドが存在する事になる。
というわけでした。
なんだか....
料理は化学なんだな〜とつくづく思いました。
■おすすめの干し椎茸
■まとめ
ポイントを簡単にまとめると、
◎加熱をしないとグアニル酸は増えない
◎弱火での加熱が一番グアニル酸が増える
◎沸騰させると酵素が失活してグアニル酸が生成されない
◎弱火で15分〜20分加熱し、椎茸の周りにアクが出てきたらOK
これであなたもプロと同じクオリティの椎茸出汁が取れるようになります。
調べてみると結構化学的でしたね。
椎茸の旨味を分解する働きは浸漬液中では行われず、椎茸中のみでしか行われないのが個人的には驚きでした。
グアニル酸は核酸系の旨味なので、アミノ酸系の旨味(お野菜の旨味成分)と合わせると味の相乗効果により7倍〜8倍も旨味を強く感じるようになります。鍋が美味しいのもうなずけますね。
ぜひ色々とお試しください。
今回のレシピがあなたのお料理の引き出しの一つにしていただければ嬉しいです♪
最後までご覧いただきありがとうございました。あなたの料理ライフがより良いものになりますように。
ではまた!
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